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狭猥な情報源による基本的にGAME・Comicオタク向け+αなニュースブログもどき。 21歳未満の人に用はありません。帰って下さい。  <管理人:頭福>
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[Microsoft の新フォントは盗作?](japan.inteernet.com)
http://japan.internet.com/busnews/20060519/6.html
(パテントサロン経由…だったかな?)

要は「某M$社が法律上問題ないからって他人のフォントをパクりました……でも某M$社って中国の法律上は問題ない(という解釈もある)ソフトウェアのコピーにはイチャモンつけてるくせにおかしいよね矛盾してるよね」というニュース(←少し違う)。
その内容はそれとして、この日本語記事、明らかに変。用語的な誤訳というか勘違いした翻訳のせいで読んでて「???」となる。

なので、元記事↓を見ながら整理してみた。(以下、後になって記事を修正されるとややこしいので、記事中の文をダラダラと引用。)
[Is Microsoft's Vista Font Just a Copy?](EARTHWEB)
http://itmanagement.earthweb.com/columns/executive_tech/article.php/3599861

Microsoft が発売を予定している Windows Vista と Office 12の新フォントの商標登録が、欧州の特許庁にあたる The Office of Harmonization for the Internal Market(OHIM)によって取り消された。
惜しい。OHIMは欧州特許庁じゃなくて商標・意匠専門の機関。欧州特許庁はEPO。
(発明協会の世界の産業財産権制度ミニガイドにツボを押さえたまとめ情報あり。)
で、ちっとも惜しくない誤訳が「新フォントの商標登録」云々。確かに元記事には「登録(registration)が取り消された」としか書いてないけどさ…「商標」なんてどこにも書いてないし、少し後ろに「design registrations」(「意匠」登録)って言葉も出てくるじゃん…。
一体どこで商標の話だと思い込んだのか…いや、どっちでも大して差がないと思ったんだろうけど、そのせいで記事全体のポイントがズレまくって甚だ読みづらいのが問題。

Microsoft は、(中略)フォントはオリジナルで、ライセンス取得済みだと主張する。
この文にしても、「novel」を「オリジナル」なんて訳すもんだから、フツーに読んでても「M$のオリジナルフォントのライセンスをM$自身が取得済って??」てな疑問符がつくわけで。「新規作り起こし」とかなんとか訳せば良かったのに。
ここは用語とか関係ないのにこの有様とは、なんか訳者のヤル気の無さが透けて見えてくる感じ。

Microsoft は2004年1月、Segoe UI フォントとして、少なくとも8種類のデザインの商標登録を申請した。
…だからフォントの話なのに「デザインの『商標』登録」って一体。上にも書いたけど元記事には「design registrations」ってちゃんと書いてあるのに。分かんないなら余計な言葉を足さずに文字どおりに訳せと言いたい。

フォントは、米国をはじめとする各国の著作権法の保護の対象にならず、対象となるのはフォント名だけなのだ。
ここでは逆に説明をはしょり過ぎたせいで誤訳になってる…。
著作権法がフォント名を保護するなんて元記事のどこにも書いてない。この箇所にこそ「商標」という言葉を出して「フォント名だけが商標法のもとで保護されうる」とするのが正解。元記事にしっかり「trademark rules」と明記してあるじゃないか…。

裁判所が下した判決によって、コンピュータフォントのコードに対する保護が追加された。この状況について詳しくは、(後略)
どうも"元記事の意味分かんないから自分の都合のいいようにテキトーに訳しました"感が漂いまくり。ここも用語とかの問題じゃないし。
訳すときに元記事の「フォントの(デザインにではなく)コードに保護が与えられた」の括弧内を無視→そのせいで、直後の文を元記事どおりに「この混乱した状況」と訳すと何が混乱してるのか説明がつかなくなる→ええい「混乱」も外して訳しちゃえ!→「この状況について」という唐突感のある日本語が残り、元記事のニュアンスが全く伝わらない。
…なんか元記事書いた人がかわいそうになってきた。

Segoe ファミリフォントのコミュニティデザインを無効とする判決に対し、謹んで異議を唱える。
…あぁ、ここまで読んできてなんか分かってしまった。この訳者の人、「意匠」って言葉知らないんだ…。
だからこの文↓とかこの文↓↓とかでは元記事の「EU's Designs Dept.」や「EU」をわざわざ「OHIM」と言い換えてるのか…。
OHIM が言い渡した8つの判決のうち7つは、2000年にリリースされた Frutiger Next と Segoe が類似しているという理由で、(後略)
OHIM はこの判決に 1、2、3、4、5、6、7、8と番号を振り、(後略)
分からないなりにも「EU's Designs Dept.」を「EUデザイン部」とか訳すのは流石にオカシイってことには気づいてたんだな。
そう考えると訳者の人は充分頑張ってたのかもしれない。色々と工夫して訳していたようにも思える。カタコトの英語もできないような自分が責めるようなことを書いて正直悪かった。

でも 間 違 い は 間 違 い なので、
それについては次回掘り下げることにしよう。
頼むから日本語記事では掘り下げないでほしい。


実のところ、ITニュースの記事で、この手の−破廉恥と言っていいほどにあからさまで派手な−誤訳を見たのは初めてじゃない。例えば↓この記事。
[「MikeRoweSoft.com」は著作権侵害?--マイクロソフト、17歳の少年を非難](CNET Japan)
http://japan.cnet.com/news/media/story/0,2000056023,20063788,00.htm
元記事ではタイトルに「著作権」の著の字も無いし本文中に「商標権侵害(infringes on its trademark rights)」って書いてあるのに、何故かタイトルで堂々と誤訳。スゴい。

後者の記事はあまりにマヌケだとしても、前者の記事は元記事が独特というか話のポイントをずらしながら論を進めていく感じの構成なので、短い時間で訳しきれなくても仕方ない内容かもしれない。
でも、それだったらあまりニーズの高くなさそうなこのニュースをわざわざ日本語化しなくても良かったんじゃないかと思う。不毛だ。

というわけで、今回の標題については「相変わらず知的財産権の種類を理解してないITニュース翻訳者」と書くのが正確だけど、その辺は分かり易さ優先ということで、元記事を歪めて意味分かんなくしてる翻訳記事よりはマシだよね、というオチにて御免。
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